日瑞テラヘルツ国際シンポジウム『20世紀サイエンスの一大発展−光と電波をつなぐ−』

光と電波をつなぐ

西澤 潤一
首都大学東京学長
1888年にハインリッヒ・ヘルツは、1864年に電磁気の現象を示す方程式を作ったマックスウェルがこのとき予言した電波をはじめて確認したのだが、1957年に我々によって発案されたレーザーとしての展開で可視光が発振し、この電波の中でテラヘルツ電波は電波の中では唯一の出せない周波数範囲になって残っていた。
我々はこれを発振させることに成功し、その結果可視光まで、ご要望があれば発振させてお目にかけることが出来るようになった。
この発振は、通信の原資として使うことが出来るのは勿論なのだが、それ以外に最も興味あるのはTHz波を当てて振動させ特定の分子や原子の結合したものが存在するか否かを確かめることで、バイキンやウィルスも含んで有機化合物分子の存在を確かめることが出来ることであろう。
我々は1983年に12.1THzを発振させることに成功し、また非常にきれいな発振電波が得られており、よく使うQを用いて表現すると2.74THzで106を超えて、これまでで最も高い値に達していることが分る。この電波を用いて世界ではじめて有機分子の欠陥を測るのに成功した。

西澤 潤一  首都大学東京 学長

西澤潤一 1926年仙台市生まれ。1948年東北大学工学部電気工学科卒業。工学博士。1953年同大学電気通信研究所助手、1954年助教授、1962年教授、1983−1986、1989−1990年所長、1990−1996年同大学総長。1998−2005年3月岩手県立大学長。2005年4月〜首都大学東京学長。日本学士院会員。
主な受賞歴として日本学士院賞、ジャック A. モートン賞、本田賞、文化勲章、IEEE(米国電気電子学会)エジソンメダル、勲一等瑞宝章等。2002年にはこれまでの業績を称え、IEEEニシザワメダルが創設された。
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