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開催趣旨

 わが国では古くから美術工芸品を修理し使い続ける伝統が存在してきた。 たとえば書画、仏像、漆器・陶磁器等の分野では各修理工房での徒弟制度や伝承・口承による独自の後継者の育成システムが備えられてきた。 一方、近年では欧米での教育・研修をうけた専門家により西洋画や彫刻、考古遺物等の分野で修復技術が輸入されている。 また国内の大学教育において文化財保存・修復を講ずる課程も急増し、これを修めた学士・修士の保存修復家が活躍する姿が目立っている。 このような歴史や現状を踏まえ、「文化財をまもる」シリーズでは第2回として『文化財のまもり手を育てる』を副題にとりあげることとした。
 文化財の保護は未来永劫に続く活動であり、保存修復専門家の後継者育成は避けて通れない重要なテーマである。 講演等によってその歴史や現状、課題に迫り、同じ文化を背負っている同時代人とともに考え理解を深めることは有意義である。 これから文化財保護の世界を目指す若い世代に情報発信することでさまざまな指針を与えることを目的とする。