開催趣旨

文化財世界における自然災害への対応は、1995年の阪神・淡路大震災を契機として様々な取り組みがなされてきた。文化財保存修復学会では「災害対策調査部会」を常設の部会として設置し、様々な組織と連携しながら活動を展開してきた。特に近年は大規模災害が頻発しており、被災地の教育委員会からの要請を受ける形で、被災文化財の修理設計や見積を行い、本来の文化財の価値を損なわない確かな修理が実施されるように協力してきた。

一方、公開シンポジウム等の機会を設け、「減災」についての問題提起を行ってきており、今回の東日本大震災では、石巻文化センターにおいて免震台とテグスの有効性が確認できた。また、日頃重ねてきた悉皆調査の成果を基に迅速な対応をしたNPO法人「宮城歴史資料保全ネットワーク」の活動に学んだ。

本シンポジウムではこうした歩みを総括しながら、東日本大震災への取り組みと今後の展開について考えたい。


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