開催趣旨

平城京遷都1300年を記念して、2010年に竣工した平城宮第一次大極殿は、今や平城宮跡のシンボルとして国内外の皆様から親しまれています。この大極殿の復原は、建設工事だけでも足かけ10年の歳月を要した大事業でした。

復原された第一次大極殿は、古代建築に関する緻密で高度な学術研究の成果が結実した平城遷都1300年の節目にふさわしい建物となりました。復原に向けた調査・研究には、さらに20年の月日をかけて取り組んでおり、それとともに建築史の研究の進展に寄与する数々の成果をもたらしました。

近年、全国各地の史跡でも建物の復原や整備活用事業が進められています。建物の復原の場合だけでなく、イラストやCG、模型の製作などでも、建築史の知識や情報が不可欠です。このような建築史の研究は、なかなか一般には知られていないのが実情です。

今回の講演会は、「発掘遺構から読み解く古代建築」と題して、発掘された地下遺構から、失われた地上の建物をどのように復原できるのか、発掘遺構や出土建築部材、現存する文化財建造物、絵画資料や文献史料などの調査・研究を通して、建物の復原研究に取り組む奈文研の建築史研究者の仕事ぶりをご紹介いたします。

平城宮の朱雀門や第一次大極殿の復原研究のプロセスや復原根拠、これから復原工事が本格化する第一次大極殿院の南門や東西楼、築地回廊等の復原研究の最新成果、遺跡から出土する建築部材をめぐる研究、そして古代建築に関わる基礎知識や専門用語をわかりやすく解説したいと思います。この講演会を通して、なぜ奈文研では建築史の研究者も発掘調査をするのか、そうした皆様の疑問もきっと氷解することでしょう。


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