「先端脳」市民公開講座 「神経変性疾患の治療法の開発はここまできている」
主催:文部科学省科学研究費特定領域研究「脳科学の先端的研究(先端脳)」
後援:朝日新聞社
日時:平成15年1月25日(土)
会場:砂防会館別館1階 シェーンバッハ・サボー
参加対象者:一般

 

開催趣旨
 不明の原因で神経細胞が脱落して発症する「神経変性疾患」は、治療不可能な疾患をあらわす代名詞であった。そのような疾患として、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患)があげられる。1990年代に遺伝性神経疾患の研究が急速に進み、主要な遺伝性神経疾患の原因遺伝子が明らかとなった。その原因遺伝子をもとに、疾患モデルマウスが開発され、病態が詳細に解析された結果、これらの疾患に対して有効な治療法を開発できる見通しがでてきた。
 アルツハイマー病は、高齢化社会の「落とし子」である。われわれは長寿とひきかえにアルツハイマー病を背負いこんでしまったといえる。ポリグルタミン病は、1990年代初めにその存在が知られた疾患グループで、ハンチントン病、脊髄小脳変性症、球脊髄筋萎縮症などがあげられる。いずれの疾患も「治療不能」と判定されていたが、治療の糸口が見出されつつある。
 これまで神経細胞はいったん失われると再生しないと考えられてきたが、条件さえ整えてやれば再生することがわかりつつある。もし、脳に存在する幹細胞を活性化して、失われた神経細胞を再生させることができれば、多くの神経疾患に適用できる「夢の治療法」ができるかもしれない。
 本シンポジウムでは、「神経変性疾患」研究の最新の結果を、特に治療法の開発に焦点をあてて解説し、将来を展望する予定である。

 

プログラム
12:55〜13:00 開会挨拶
井原康夫(東京大学大学院医学系研究科)
13:00〜13:45 アルツハイマー病の治療・予防法開発の現段階
井原康夫(東京大学大学院医学系研究科)
13:45〜14:30 ポリグルタミン病の治療の可能性
辻 省次(東京大学大学院医学系研究科)
14:30〜14:45 休憩
16:25〜16:45 質疑応答・パネルディスカッション
  パネリスト:井原康夫(東京大学大学院医学系研究科)
        辻 省次(東京大学大学院医学系研究科
        祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科)
        中福雅人(東京大学大学院医学系研究科)
16:45〜16:50 閉会挨拶
辻 省次(東京大学大学院医学系研究科)