脳を知る・創る・守る

脳を知る・創る・守る
ISBN4-906347-62-4/c1040 256項/本体価格1,942円(税抜)
平成8年10月2日 第1版発行
代表  伊藤 正男



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*もくじ*
はじめに
T章 脳研究に期待する  立花  隆
U章 脳を知る
  1 遺伝子から脳へ  三品 昌美
記憶とネットワーク/シナプス伝達の長期増強/長期増強とNMDA型グルタミン酸受容体/グルタミン酸受容体チャネルの単離/マグネシウムイオン閉塞阻害部位/NMDA型グルタミン酸受容体チャネルの多様性/NMDA型グルタミン酸受容体チャネルの活性調節/ノックアウトマウス/おわりに

2 記憶の大脳メカニズム  宮下 保司
記憶とは/視覚記憶に関する脳の領域/海馬の位置と形状/レイオステライト図形による記憶テスト/記憶障害と海馬の構造変化/記憶における海馬の役割/海馬における記憶/大脳における視覚記憶システムの概略/対連合記憶テストとは/サルに対する視覚記憶テスト法/マルくんの記憶テスト法/下部側頭葉に見られる神経細胞の活動パターンと視覚記憶/三次元物体の知覚と記憶/記憶を思い出すメカニズム/おわりに

3 脳の機能分子  中西 重忠
神経細胞の情報の伝達とは/神経細胞の興奮の伝達とは/グルタミン酸受容体の種類と性質/グルタミン酸神経伝達系研究の難しさ/グルタミン酸受容体遺伝子の単離法/NMDA型グルタミン酸受容体の構造/NMDA型グルタミン酸受容体の発現部位/グルタミン酸受容体の多様性/メタボトロピック・グルタミン酸受容体の機能/ノックアウトマウスによる検証/匂いの記憶とグルタミン酸受容体

4 視覚の計算過程  外山 敬介
視覚認知に関する不良設定問題/脳における不良設定問題の処理法/マーの提唱した神経回路/マーの神経回路の実験的確認/大脳皮質V1野での視覚情報の流れ/興奮の循環過程をとらえる/体性感覚野での興奮の増強過程/おわりに

V章 脳を創る
  1 脳とコンピュータ  甘利 俊一
脳の構造と情報処理/論理的思考の基本/数学基礎論としての思考/人工知能は実現可能か/直感的思考と論理的思考の協調/人間の思考原理/数理工学からの脳研究へのアプローチ法/脳の進化過程と構造変化/情報原理を探る数理モデル/神経細胞に見る情報の総合化法/学習理論モデル構築における問題点/神経回路網モデルの限界と可能性/バックプロパゲーション・モデル/機械としての自己組織化機能/連想記憶モデル/意識の問題にいかに迫るか

2 脳の計算論  川人 光男
計算理論とは/ハードウエア先行から計算理論の研究重視へ/ヒトの二関節運動の軌道測定/二関節運動の制御メカニズム/腕の機械的硬さの測定/脳の内部モデル/逆モデルの獲得/フィードバック誤差学習とは/逆モデルの存在部位/小脳における逆モデルの検証/ロボットへの応用/おわりに

3 ニューロコンピュータへの展望  久間 和生
ニューロチップの現状/ネットワークの規模拡大法/ニューロボードの応用例/パターン認識への応用/部品の最適配置問題への応用/ギガトランジスタシステムの課題/アナログニューロチップの特徴と問題点/光ニューロチップの開発/人工網膜チップ/人工網膜チップの応用例/人工網膜チップの応用分野/新しいニューロデバイスを目指して

W章 脳を守る
  1 神経難病の根絶に向けて  吉田 充男
ヒトは一二〇歳まで生きられる/痴呆の原因と人口比/脳血管障害性痴呆の特徴/アルツハイマー病の特徴/アルツハイマー病の治療と早期発見/痴呆の予防と運動/パーキンソン病とその治療法/筋ジストロフィー症の治療/ハンチントン舞踏病に見られる遺伝子異常/その他の神経難病

2 神経難病の遺伝子解析  金澤 一郎
遺伝子と情報発現の流れ/DNAとその異常/神経難病とは/神経難病の発症頻度/ハンチントン舞踏病と脳内変化/ハンチントン舞踏病に見られる遺伝子異常/アルツハイマー病と第二一番染色体/アポリポ蛋白質Eとアルツハイマー病/家族性筋萎縮性側索硬化症とは/遺伝子異常と発症のメカニズム

3 生体リズムと睡眠  高橋 清久
ラットの生物時計と周期/生物時計の存在部位/生物時計の移植/生物時計の周期をつかさどる遺伝子/生物時計の地球自転周期への同調/生物時計の調節因子/ストレス・薬物の及ぼす影響/加齢と生体リズム/ヒトの生物時計の周期/夜間勤務者の生体リズム/季節性感情障害に対する光療法/睡眠覚醒リズム障害/おわりに

X章 脳の世紀を目指して  伊藤 正男
  人間の心に迫る/還元論的アプローチからの脱却/アメリカにおける脳研究の支援体制/日本の脳研究体制の現状/脳の世紀に向けて