記憶とネットワーク
東京大学医学部 三品 昌美
20世紀の前半が物理学の世紀だとすると、後半は生物学の世紀であるといえます。生物についての理解が著しく進んだ時代です。その大きな原動力となったのは、分子生物学です。分子生物学の基本的な考え方は、生命現象を分子レベルで論理的に理解しようということです。遺伝、適応、免疫、がんや発生などの生命現象が分子の言葉でかなり理解できるようになりました。それでは、われわれが日常経験している、考えたり、記憶したり、学習したりするという脳の働きも、分子レベルで理解することが可能なのでしょうか。もし可能ならばどのようにアプローチすればよいのでしょうか。これらの問いかけが研究の出発点となっています。 |