会員からの情報

「第2回日本ゲノム微生物学会・若手の会」報告

第二回 日本ゲノム微生物学会・若手の会に参加して

法政大学 島田友裕

 第二回の’’若手の会’’が、平成20年11月6日、7日に行われました。第一回に引き続き会場は東京八王子市の八王子セミナーハウスで、総勢50名近くの参加者となりました。7題のレビュー(約35分間)と19題のミニレビュー(約15分間)の合計26題が講演されました。
 発表者は准教授から学部3年生までに渡り、実際に実験を行っている研究者ならではの詳細な講演の内容となりました。Science誌に掲載された遺伝情報発現の根幹に関わる「permuted tRNA」発見の最先端の研究成果、生物の極地条件への適応戦略解明を目標とした南極大陸沿岸部の「コケ坊主」の解析や、また研究を開始したばかりの新しい研究方針の夢のある講演があり、ゲノム微生物学の多様な要素が含まれていましたが、討論ではたくさんの意見が飛び交い、それぞれの形で盛り上がりを見せたのが印象的でありました。また、講演の座長は、若手の会らしく、私を含めたポストドクター6名によって行われました。夜は立食形式のブッフェの後も懇親会は続き、その間は研究の討論をはじめ、分野の垣根を超えた若手の会らしい談話に多くの刺激を受けました。このような諸先輩方に交じっての討論する体験は、私にとっては学会の年会などでは到底味わうことができない、貴重な経験となりました。
 本会が“若手の会”である所以を感じたのは、要旨の作成時にあるのではと感じました。私事になりますが、講演要旨を提出すると世話人会からコメントをいただきました。すなわち、改訂を求められたのです。正直、普段の学会では経験した事がないことで驚きました。しかし、プログラム要旨集を一読して、その真意をすぐに理解できました。それは他分野の内容であっても理解しやすくなっていたのです。要旨の改訂によって、発表内容の注目されるべき点がより浮き彫りとした誰もが理解しやすいように編集されていました。学会や研究会の規模によりできる程度は異なるかと思いますが、このような取り組みは私のような30歳前後の若い研究者にとって自他の研究の意義を改めて熟考する良い機会となったと思います。勿論、このようなプログラムで、参加者誰もが専門分野以外の全ての発表内容にも積極的に参加できていたと印象をもちました。
 日本ゲノム微生物学会のホームページ内で、会長の吉川寛先生は「年会やワークショップ等に集まった研究者,特に学生や若い会員が微生物学の全分野を俯瞰し,総合的な理解をもった上で,自分の個別研究を評価する機会を持つことが可能になるでしょう」とおっしゃっていますが、若手の会はまさにそのような場であることを実感しました。ゲノム微生物研究に携わる若手研究者の集いの場として、議論し楽しめる場であったことは間違いありません。今後も諸先生・先輩方、そして学生の方々と共にこの会を盛り上げていけたらと思います。

若手の会 若手の会

[ 09.01.16 ]


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