開催趣旨

 近年の世界的なグローバリゼーションは、国内外を問わず文化の画一化を進め、地域もしくは民族のもつ固有の生活文化の背景を失わせる要因になっている。わが国においては、一般社会のなかで自らの生活文化について意識する機会が少なかったこともあり、その基層となるみんぞく資料は、文化財として、それほど注目されてこなかった。本シンポジウムでは、博物館や地域活動のなかでおこなわれているみんぞく資料の保護事例を紹介し、新たな保護のありかたを追究することを目的とする。
 シンポジウムは、専門家による講演とパネルディスカッションで構成する。基調講演では、わが国におけるみんぞく資料の実情を概観する。講演では、みんぞく資料を対象とした資料管理の実例、地域のなかでの保存と活用、被災民俗文化財の保存修復事例を取り上げる。パネルディスカッションでは、みんぞく資料の保存の将来像について議論を深めたい。