最先端研究開発支援プログラム
「低炭素社会に資する有機系太陽電池の開発」中心研究者
東京大学先端科学技術研究センター附属
産学連携新エネルギー研究施設長・教授
瀬川 浩司
18世紀半ばに始まった産業革命は、化石資源の大量消費によって維持される世界を作り出しました。21世紀に入った現在、世界のエネルギー状況を俯瞰しても、その状況はあまり変わっていません。そもそも地球上に存在する化石資源に含まれるエネルギーは、太古の昔から行われてきた地球上の生命活動、とりわけ太陽光エネルギーを利用した植物の光合成によって固定されたものが殆どですから、如何に科学技術が発展しようとも未だに人類は自然界が作り出したエネルギー源に依存していると言えます。そこで現代の科学者は、自ら積極的に太陽光エネルギーを利用する取り組みを始めました。その一つが太陽光発電です。私が中心研究者を務める最先端研究開発支援プログラム「低炭素社会に資する有機系太陽電池の開発」では、植物の光合成のメカニズムに学ぶ太陽電池が研究されています。また、日本では「本多藤嶋効果」に代表される光電気化学反応を応用して、光合成のメカニズムにも学びながら、エネルギーとしての水素を作り出す研究も進んでいます。この様な研究の基礎として欠かせないのが「化学」です。太陽電池を作るには電気を流す物質が必要ですし、水素を発生させるためには表面の化学反応を制御しなければなりません。どちらも化学が基本になります。
本講演会は、「太陽エネルギー利用に向けた化学の挑戦」と題して、以上の様な分野において世界で活躍してきた国内外の研究者の方々に、若い学生の皆様に分かり易く最先端のサイエンスを語っていただく講演会として企画いたしました。英語の発表には日本語で、日本語の発表には英語で同時通訳がつきます。インターネット配信も予定しています。ぜひ多くの方々にご覧いただければと思います。