開催趣旨

近年、世界の美術館・博物館・図書館等の虫菌害対策は化学薬剤処置から日常管理を基本とするIPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)へと転換されつつあります。我が国でも、ガス燻蒸に用いる特効薬がオゾン層破壊物質として全廃されたことを機に、化学薬剤だけに頼らない「モノ・ヒト・環境にやさしい」IPMに取り組む館が増えてきました。

本シンポジウムは、こうしたミュージアムIPMを地域や市民と共にすすめることが、文化施設のIPM導入を助けること、そしてそのことが博物館全体の運営そのものにも役立つことをお伝えしたいと思います。ごく普通のこととしてIPMを支援する市民の輪の拡がりや、地域の文化施設の導入取り組み事例により、IPM導入による可能性を発信いたします。

九州国立博物館は、2005年の開館前から「市民と共に ミュージアムIPM」の研究と実践を続け、2007年度より科学研究費や文化庁受託事業・補助事業の一環として支援者育成研修と共に本シンポジウムシリーズを6回にわたり開催してまいりました。最終年度の本年は、本事業による市民活動ならびに支援者研修参加を契機にIPMを導入した施設からの事例報告をとおし、これまでの事業成果について広くご紹介するものです。


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