日本進化学会第19回大会では、以下の一般公開イベントを企画しております。
どなたでも入場無料です。事前の参加申込みも不要ですのでお気軽にご参加ください。
市民公開講座
『進化の不思議にふれる:シロアリ家族のひみつ、けったいな植物の生き様』
地球上には1000万種に近いとされる多様な生物が住んでいます。この多様性は絶え間ない「進化」によりもたらされたものですが、「進化」は姿形という見た目の多様性だけでなく、生き様の多様性もたらしました。この講座では、気鋭の研究者お二人に、昆虫と植物の興味深い生き様について、その進化の道筋を含めて分かりやすくお話しいただきます。
日時 | : | 平成29年8月26日(土) 13:00〜15:00 |
会場 | : | 京都大学百周年時計台記念館・百周年記念ホール (京都市左京区吉田本町 京都大学本部構内) |
講演者
- 『あなたの知らないシロアリの秘密』
松浦 健二 (京都大学大学院農学研究科・教授)
家を食べてしまう害虫としてお馴染みのシロアリですが、彼らの生態や進化にはまだまだ多くの謎が残されています。最新のフェロモン研究や繁殖システムの研究から明らかになった彼らの驚きの生態を紹介します。「彼らの世界を支配する力」がどのようなものか、その進化の力学を読み解く面白さを味わって下さい。
- 『キノコを食べる植物の不思議な生活』
末次 健司(神戸大学大学院理学研究科・特命講師)
皆さんは「植物の特徴は?」と聞かれた場合、どのように答えるでしょうか。多くの人が「葉緑素を持ち、光合成を行うこと」を挙げるのではないでしょうか。しかし、植物の中には光合成をやめ、キノコの菌糸を「食べて」生きているものが存在します。こうした光合成をやめた植物は、花粉を運ぶ昆虫や種子を運ぶ動物といった他の生物との共生関係を変化させ「驚くべき生活」をしていることがわかってきました。その生活の一端をご紹介したいと思います。
進化学夏の学校
『加速する分類学と系統学』
分類学と系統学は進化生物学の基盤をなす分野で、生物多様性の理解に欠かせない知識の枠組みを与えてくれます。近年、高スループットシーケンサ(次世代シーケンサ、NGSと呼ばれてきたもの)の普及や、大規模なデータの取り扱いが容易になるにつれ、それらの技術が分類学と系統学に新たな展開をもたらそうとしています。今年の進化学夏の学校では、そのような研究の最前線にいる研究者に講演していただきます。(企画:越川滋行)
日時 | : | 平成29年8月24日(木) 18:15〜20:15 |
会場 | : | 京都大学吉田南構内総合人間学部棟 (京都市左京区吉田二本松町) |
講演者
- 『高スループットシーケンサのコモディティ化が変えた分類学と系統学の研究サイクル』
田辺 晶史 (神戸大学・大学院理学研究科)
- 『高スループットシーケンサを用いた分子系統推定―大型菌類を用いた実践―』
佐藤 博俊 (龍谷大学・理工学部)
- 『大規模データを使ったDNA分類の手法:多遺伝子座を用いた種発見とその問題点』
藤澤 知親 (Pasteur Institute & LIRMM, CNRS)
- 『DNAバーコードの情報システムと分類学者の関わり』
神保 宇嗣 (国立科学博物館)