開催趣旨・プロジェクト概要

人文学の危機が叫ばれる今日、人文学の新たな知のあり方に関心が集まっています。人間文化研究機構は、現代社会の問題解明に向けた総合的な人間文化研究へと人文学の知の展開をはかるべく、平成28年4月より、国内外の研究機関や地域と連携し、広領域の学問分野の協働により新領域を創出する「基幹研究プロジェクト」を始動します。

本シンポジウムは、特に現代社会における「健康」・「地域文化」・「書物」をテーマとして、各分野で先駆的な取組みをされている実践者の方々をお迎えし、自然と人間との向き合い方を改めて問い直し、人間文化の新たな価値の創出に向けた研究の展望を見出します。

広領域連携型 基幹研究プロジェクト

アジアにおける「エコヘルス」研究の新展開
アジアにおける「エコヘルス」研究の新展開
「エコヘルス」は、従来は医療や疾病研究の視点で捉えられてきた「健康」を、社会変容と環境変化が急速に進む近現代における、暮らしや生態環境、生業、食生活等との関わりから探求しようとする新たな研究の視座である。本プロジェクトは、特にアジア地域の環境と健康をめぐる問題や、歴史的な「健康」概念の考察等を通じて、人間文化研究の観点から地域に根ざした学際的「健康」研究に取り組み、アジアのエコヘルス学と研究ネットワークの創成を目指す。

研究ユニット
「アジアにおける健康と環境:新たな人間と環境との関係性としての「エコヘルス」概念の再構築に向けて」(総合地球環境学研究所)
「アジアの中の日本古典籍:医学・理学・農学書を中心として」(国文学研究資料館)
「文明社会における食の布置」(国立民族学博物館)


異分野融合による総合書物学の構築
異分野融合による総合書物学の構築
古来伝わってきた書物(歴史的典籍)には、内容はもとより紙、墨、装訂法など様々な点において多くの先人の知恵が蓄積されている。しかし、それらの情報の多くは読み取ることが出来ずに眠っていた。それらを掘り起こすべく、従来の国文学のみにとどまらず、あらゆる分野と連携して総合的な観点から書物を分析し、時には生産・加工・流通など現場の知見も積極的に取り込み、書物の意味を改めて問い直すとともに、書物が持つ可能性を探る。また、それらのアプローチを通して、新たな学問分野「総合書物学」の構築を目指す。

研究ユニット
「古代の百科全書『延喜式』の多分野協働研究」(国立歴史民俗博物館)
「表記情報と書誌形態情報を加えた日本語歴史コーパスの精緻化」(国立国語研究所)「キリシタン文学の継承:宣教師の日本語文学」(国際日本文化研究センター)
ユニット間連携・総括事業(国文学研究資料館)


日本列島における地域社会変貌・災害からの地域文化の再構築
日本列島における地域社会変貌・災害からの地域文化の再構築
日本列島では現在、地域社会の変貌や災害によって、その多様性が失われつつある。本プロジェクトは、こうした現状がもたらす諸問題の解明に向けて、言語・史料保存・表象システム・環境保全等を切り口として、地域社会とそこでの拠点形成をめぐって、地域にかかわるさまざまな人々との実践的な議論を積み重ねることを通じて、地域文化の再構築を目指す。

研究ユニット
「地域における歴史文化研究拠点の構築」(国立歴史民俗博物館)
「日本の消滅危機言語・方言の記録と継承」(国立国語研究所)
「人命環境アーカイブズの過去・現在・未来に関する双方向的研究」(国文学研究資料館)
「日本列島における地域文化の再発見とその表象システムの構築」(国立民族学博物館)
「災害にレジリエントな環境保全型地域社会の創生」(総合地球環境学研究所)


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