ご挨拶

会長 尾崎 治夫

第10回日本禁煙学会学術総会 会長
東京都医師会長 尾 治夫

謹啓、皆様におかれましては益々御健勝のことと存じます。

第10回日本禁煙学会学術総会の会長を仰せつかりました、東京都医師会長の尾治夫です。東京大会の会長として、ひとことご挨拶申し上げます。

皆様もご存知のとおり、日本のタバコ対策は諸外国と比較し、比べることが恥ずかしくなるくらいに遅れております。未だ過去の遺物がごとく残っている「たばこ事業法」をはじめ、タバコ販売を経済成長の道具として捉え、タバコ税による税収入を増やすことを目的としてきた我が国の歴史的な流れは、現在も専売公社から日本たばこ産業(JT)へと引き継がれています。

このように、我が国にはタバコを健康問題として考えることができなかった不幸な歴史があるため、世界保健機関(WHO)の国際条約「タバコ規制枠組み条約(FCTC)」に批准しているにもかかわらず、しっかりと条約を遵守できていない状況が続いているのです。

がん対策の必要性は勿論のこと、脳卒中、心臓病、COPDなどの予防、また健康寿命延伸の重要性を誰もが口にするようになった現在でも、タバコ対策は常に後回しにされてきました。寝たきりの原因となる多くの疾患に喫煙が深く関わっていることは、世界中で出されている学術研究データを見るまでもなく、少しでもタバコ関連の資料を紐解けば明白です。しかし、国や都のがん対策や各種健康政策を見ても、タバコ対策は目立つところに記載されておりません。

多くの国民はタバコのことに無関心であるか、関心があってもメディアを通じて正しい情報を知らされることなく、未だに多くの会社や飲食店で、非喫煙者が受動喫煙を受けている状況が放置されています。

さらに東京都医師会長としては大変恥ずかしい事ですが、私たちのお膝元である首都東京の行政中心部「東京都庁」ですら名ばかりの分煙であり、タバコの煙は庁舎内の空間を自由に漂っている状態です。

私は東京都医師会長に着任以来、主要医療政策3項目の一つにタバコ対策をあげて、ことあるごとにその重要性を主張してきました。

東京オリンピック・パラリンピック開催は、国際オリンピック委員会(IOC)とWHOが「タバコのないオリンピック」を開催することで協定を結んでいることから、我が国の遅れているタバコ対策を先進国並みに近づける千載一遇のチャンスと考えております。

最後に私自身への自戒を含め、あえて申し上げますが、これからの禁煙推進活動は今までのように、一部の方々だけで行うマニアックな活動ではいけないと考えております。この大会を機に、多くの医療関係者や都民、そして心ある議員の先生方など、多くの方々が連携して参加できる活動にして行きましょう。

日本禁煙学会、東京都医師会員の総力を挙げて、多くの方々のご協力のもと、実りある大会として、近々の目標である飲食店を含む屋内全面禁煙の法制化に向け、一陣の風を巻き起こそうではありませんか。

皆様のご理解、ご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

謹白
平成28年1月吉日


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