公開シンポジウム

市民公開シンポジウム

第78回日本人類学会大会公開シンポジウム
「分野横断的な研究手法から探る、近世大坂都市住民の生活・病気・死」

大阪市文化財協会が2019・2020年度に発掘した大阪市北区の大深町遺跡は、大坂七墓の一つである梅田墓にあたり、石垣で区画した墓地内から1700体を超える土葬埋葬が発見されています。その規模や埋葬の多様性という点で近世から近代の初めの大阪の都市史、信仰、墓制史を雄弁に物語る第一級のものであり、人文科学と自然科学の分野の垣根を超えた視点から、近世都市大坂の実像に迫ります。無料でご参加いただけますので、会員以外の方もふるってご参加下さい。

日時:2024年10月14日(月・祝)
場所:大阪大学中之島芸術センター
〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4丁目3-53 3-4階
経路:梅田スカイビルから大阪大学中之島芸術センターへの行き方

オーガナイザー: 長岡朋人(青森公立大学)、大庭重信(大阪市文化財協会)

大阪市文化財協会が2019・2020年度に発掘し、2022年3月に報告書を刊行した大阪市北区の大深町遺跡は、大坂七墓の一つである近世墓地の梅田墓にあたり、石垣で区画した墓地内から1700体を超える土葬埋葬が発見されました。墓地内は石垣により細分され、北部の土葬累積域と南部の木棺墓域の間で埋葬方法や被葬者像に違いが見られました。文献記録では、市中で行き倒れた身元不明人や流行り病による死者を大穴に投げ込んだという記述があり、本遺跡の土葬累積域がそれにあたる可能性があります。大深町遺跡の発掘調査資料は、その規模や埋葬の多様性という点で近世から近代の初めの大坂の都市史、信仰・墓制史を雄弁に物語る第一級のものです。

形態学、古病理学、プロテオミクス分析、DNA分析、同位体生態学的分析、考古学、歴史学の研究者が分野横断的に大深町遺跡をテーマに集まり、堅実な資料の整理作業を進め、最先端の技術で分析を進めています。本シンポジウムの意義は2点あります。大深町遺跡の歴史的な背景を紐解くことと分野横断的な視点から進めている研究の新知見を紹介することです。分野横断的な連携体制による研究プロジェクトを紹介することで、近世都市大坂の理解を深めます。生物考古学の研究者による出土人骨の研究成果とプロジェクトの紹介、歴史学の研究者による大坂の歴史的背景の講演、考古学の研究者による大深町遺跡の発掘とその成果、同位体生態学、プロテオミクス分析、DNA分析の研究者による近世大坂の都市住民の生老病死の復元により、近世都市大坂の実像に迫ります。本シンポジウムは研究の経過の報告を行います。

大深町遺跡に対する社会の関心の高さは、発掘時の報道からも推察され、本シンポジウムは研究成果の社会発信の好機です。人文科学と自然科学の分野の垣根を超えた視点から、地域に根差した最近の研究成果を社会に発信する機会であり、江戸末期の大坂の都市住民の生活や病気との共存の歴史に迫ります。

発表者
長岡朋人
(青森公立大学)
「分野横断的な研究手法から探る、近世大坂都市住民の生活・病気・死―出土人骨の調査概報―」
大庭重信
(大阪市文化財協会)
「梅田墓(大深町遺跡)の発掘調査成果」
村上紀夫
(奈良大学)
「文献史料に見る梅田墓所」
豆谷浩之
(大阪歴史博物館)
「蔵骨器の墨書から考える梅田墓の性格」
福原瑤子
(総合研究大学院大学)
「古代プロテオミクスから読み解く人々の営み」
澤藤りかい
(総合研究大学院大学)
「古代分子が解き明かす過去の病気」

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