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一般シンポジウム・自由集会

一般シンポジウムについて

多数の企画申し込みをいただき、ありがとうございました。プログラム委員会で検討した結果、以下の企画を採用することに決定いたしました。

シンポジウム1 「サルの文化、ヒトの文化」
9月16日(金) 13:30〜15:30

オーガナイザー : 井原 泰雄(東京大学)、中村 美知夫(京都大学)
社会学習により世代を超えて個体間で共有される情報の集積として文化をとらえ、文化の伝達と進化について議論する。霊長類の種内で見られる集団間の行動レパートリーの違い、道具使用や社会的慣習の伝達過程、先史人類による石器製作技術の社会学習、今日の狩猟採集社会における生物学的、生態学的、文化的要 因の相互作用など、霊長類学と人類学に跨る最近の知見を参照しながら、サルの 文化とヒトの文化を理解するための共通基盤を摸索する。

発表予定者: 井原 泰雄(東京大学)
高倉 純(北海道大学)
高田 明(京都大学)
中村 美知夫(京都大学)
林 美里(中部学院大学)

シンポジウム2 「人類学、霊長類学における研究倫理」
9月16日(金) 15:30〜17:30

オーガナイザー : 近藤 修(東京大学)、半谷 吾郎(京都大学)
人類学、霊長類学の研究倫理を考えるうえで、ヒト・霊長類という生物が研究対象となるが故の社会的反響の大きさを無視することはできない。ヒトには「人権」を基盤とする特有の倫理基準があり、霊長類研究にも対象や環境をふまえた倫理基準が求められる。本シンポジウムでは、アイヌ研究、ヒトの遺伝研究、霊長類の実験研究、海外フィールド調査におけるABS問題等を通して、研究対象へのアプローチや実際の調査時に必要な研究倫理を考えるきっかけとしたい。

発表予定者: 近藤 修(東京大学)
小金渕 佳江(東京大学)
今井 啓雄(京都大学)
中村 紳一朗(麻布大学)
竹ノ下 祐二(中部学院大学)

シンポジウム3 「肉食をめぐる人類学」
9月18日(日) 9:00〜11:00

オーガナイザー : 本郷 峻(京都大学)
多量で高頻度の肉食は、ヒトを他の現生霊長類と区別する重要な特徴のひとつであるとともに、現代の気候変動と生物多様性減少を引き起こす原因の一つとされる。しかし、そもそも人類にとって肉食とは、いつから、どのように重要であったのだろう?本シンポジウムでは、多様な専門性を持つ5名の若手研究者それぞれの視座から、人類と肉食の関係に関するこれまでの研究を整理し、人類の肉食の未来を考える端緒としたい。発表者の講演後に十分な総合討論の時間を設け、大学院生からベテランまで、参加者との熱い議論を期待する。

発表予定者: 本郷 峻(京都大学)
早川 卓志(北海道大学)
澤藤 りかい(総合研究大学院大学)
山口 晴香(東京大学)
近藤 祉秋(神戸大学)

シンポジウム4 「幹細胞技術が拓くCellular Anthropology/Primatology」
9月18日(日) 14:00〜16:00

オーガナイザー : 太田 博樹(東京大学)、今村 公紀(京都大学)
iPS細胞に端を発する細胞操作技術の発展は、生体現象の再現、分子プロファイリング、機能実証などの形で研究アプローチに革新を生み続け、今や霊長類進化やヒト集団遺伝学、さらには古代ゲノム情報の活用においても新展開をもたらしている。従来的な人類学・霊長類学の「外」で始まったCellular Anthropology/Primatologyの潮流は、生命科学のみならず医学においても注目のホットトピックであり、本シンポジウムでは本邦における挑戦を概括する。

発表予定者: 一柳 健司(名古屋大学)
今村 拓也(広島大学)
今村 公紀(京都大学)
鈴木 郁夫(東京大学)
中村 友紀(京都大学)

シンポジウム5 「ヤポネシアゲノムの5年間:到達点とこれから」
9月18日(日) 16:00〜18:00

オーガナイザー : 神澤 秀明(国立科学博物館)
文科省科学研究費補助金新学術領域研究「ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明」(領域略称名:ヤポネシアゲノム)は2018年度にスタートし、本年度で終了する。そこで本シンポジウムでは、ヤポネシアゲノムの人類学・考古学の分野の各プロジェクトの現時点での到達点を報告し、ゲノム解析を中心に据えたこの分野の研究が今後どのように展開していくのかを考える。

発表予定者: 山田 康弘(東京都立大学)
神澤 秀明(国立科学博物館)
松波 雅俊(琉球大学)
細道 一善(東京薬科大学)

シンポジウム6
「哺乳類の歯の形を決めるもの〜遺伝・発生・機能・性差と社会性〜」
9月19日(月) 9:00〜11:00

オーガナイザー : 森田 航(国立科学博物館)
哺乳類の歯の形は驚くべき多様性を示し、同種の個体間の変異も大きい。さらに歯の形は進化的な時間の中でも変化する。本シンポジウムでは、歯という咀嚼器官が、どのような遺伝子の発現により発生が進み、自然環境下でどのように機能し、さらに種内競争と社会性にどのように関わるのか、まで含め歯の形について総合的に議論する。歯の形態形成の原理的な部分を捉え、それがヒト系統でどのように進化したのかを考える企画にしたい。

発表予定者: 森田 航(国立科学博物館)
木村 亮介(琉球大学)
山中 淳之(鹿児島大学)
久保 麦野(東京大学)
諏訪 元(東京大学)

シンポジウム7(ミニシンポジウム)
「縄文早期人とその生活・社会:居家以岩陰遺跡調査より」
9月19日(月) 11:00〜12:00

オーガナイザー : 近藤 修(東京大学)、水野 文月(東邦大学)
縄文社会の成立過程は、完新世初頭にはじまるヒトの定住化プロセスを理解するにあたり重要な示唆を与える。我々は、縄文時代早期岩陰遺跡の調査を通じて、先史社会の復元を試みており、本シンポジウムでその成果を発表したい。考古学、時間枠組みとしての年代と安定同位体、人骨形質、古DNAのそれぞれのアプローチより、早期縄文人集団の社会組織、生業、文化について考えたい。

発表予定者: 谷口 康浩(國學院大學)
申 亜凡(東京大学)
水野 文月(東邦大学)

自由集会について

自由集会は霊長類学会大会にあわせ会期前に開かれる研究集会で、この部分に限り、大会参加者以外でも発表・参加することが可能です。この枠組みは本連合大会でも継承します。自由集会と大会枠内で重複して発表を行う事は可能です。人類学会における分科会シンポジウムとほぼ同じ扱いですが、大会実行委員会は会場の準備のみを行い、運営の補助はいたしません。

以下の4つの企画が行われます。会場は京都大学を利用する可能性があるとお伝えしていましたが、新型コロナ感染防止対策より学外者を集めての集会開催に制限があること、参加者の移動の便を考慮し、全て京都産業会館ホールで行います。

自由集会1
「将来の霊長類学と今後の学会の在り方 〜霊長類学会アンケート調査の結果〜」
9月16日(金) 10:00〜12:00(オンラインとのハイブリッド)

世話人 : 森光 由樹(兵庫県立大学)、日本霊長類学会・PSJアンケート調査ワーキンググループ
霊長類研究所改編に関連して、日本霊長類学会では臨時理事会および臨時代議委員会が開催された。開催された会議の中で、新たな霊長類学を考える時期にきているのではないかとの意見があった。また、ほかの会員の方々からも同じ意見が複数寄せられた。そこで、会員のニーズを把握するためアンケート調査を実施し、アンケートの分析結果を共有しながら、将来の霊長類学と今後の学会の在り方について参加者と共に考えたい。

発表予定者: 山梨 裕美(京都市動物園)
清野 未恵子(神戸大学)
蔦谷 匠、武真 祈子、豊田 有、北山 遼、木下 勇貴、
松平 一成(PSJアンケート調査ワーキンググループ)
会場で参加される方へ
Slidoを使用して多くの方からご意見を収集したいと思います。
会場にPCやスマホ等端末をご持参ください。
https://www.sli.do/
Enter event codeでイベントコードを入力して「JOIN」
オンラインで参加される方へ
事前にこちらからお申込みください。
https://bit.ly/3R2IZEh
(Googleの申し込みフォームに移動します)

自由集会2 「骨考古学による中国文明起源の解明にむけて」
9月16日(金) 10:00〜12:00

世話人 : 米田 穣(東京大学)
学術変革領域研究「中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ」では古人骨を用いた骨考古学的な研究から、文明や国家が誕生した背景とプロセスを記述する試みを実践している。本集会では進行中の研究手法を紹介し、新規アプローチの可能性を議論する。

プログラム:
趣旨説明:骨考古学から中国文明起源をいかに解明するか
米田 穣(東京大)
新石器時代長江デルタ地域における稲作農耕民の健康状態
岡崎 健治(鳥取大)・高椋 浩史(土井ヶ浜人類学ミュージアム)
骨形態からみる都市化とヒトの行動
萩原 康雄(新潟医療福祉大)
文明形成期の良渚に出現した人骨の加工品
澤田 純明(新潟医療福祉大)
土器の同位体分析からみた土器とヒトの移動
石丸 恵利子(東京大)・申基(地球研)
人骨・糞石・土壌 ? 古代ゲノム学の挑戦
太田 博樹(東京大)
携帯型次世代シーケンサーを用いたオンサイトパレオゲノミクス研究とその応用
覚張 隆史(金沢大)、石谷 孔司(産総研)

自由集会3 「廃屋墓出土人骨からみえる縄文社会」
9月16日(金) 10:00〜12:00

世話人 : 佐宗 亜衣子(新潟医療福祉大学)
複数個体が埋葬された廃屋墓例は、かつては縄文時代の「家族」を議論する土台となった。その後、埋葬状況や埋葬過程、個体間の関係性など様々な視点から、考古学コンテキストに基づいた議論が重ねられてきた。近年は、私たちが想起する現代の「家族」とは様相がことなるものの、何らかの近しい人々が意図的に埋葬されたものと想定されている。
一方で、出土人骨そのものに直接アプローチする検討はほとんど行われてこなかった。我々は廃屋墓から出土した人骨を骨考古学、年代測定、食性分析、ancient DNA分析、タフォノミー分析など、さまざまな人類学的手法を用いて検討し、新たな情報を得ようとしている。これまでの知見と総合することで、より客観的データに基づいて廃屋墓での埋葬プロセスや個体間の血縁関係を解明できると考えている。本集会でその成果について発表し、一つの場所に埋葬された人々がどのような関係にあり、それは何を意味するのか、について議論したい。

プログラム:
埋葬環境の判別を基にした“廃屋墓”の分類
青野 友哉(東北芸工大)
廃屋墓事例の再考:神奈川県三ツ澤貝塚A地点
水嶋 崇一郎(聖マリアンナ医大・解剖)、
佐宗 亜衣子(新潟医福大・人類研)
廃屋墓事例における出土人骨の年齢構成
佐々木 智彦(京大・博)、中村 凱(東京大・院理)
姥山B9住居址ならびに加曽利北II-29住居址から出土した人骨のDNA分析
水野 文月(東邦大・医)、植田 信太郎(東京大・院理)
タフォノミー観察と年代測定からみる廃屋墓人骨の埋葬状況
佐宗 亜衣子(新潟医福大・人類研)、青野 友哉(東北芸工大)、
米田 穣(東京大・総研博)

自由集会4 「霊長研解体の経緯を踏まえてこれからを考える」
11月2日(水) 9:00〜12:00 Zoomによるオンライン開催

事前申し込み必要
(10月31日までに次のアドレスまで:kuniowatanabe923@gmail.com

世話人 : 杉山 幸丸、霊長研解体に反対する会
2021年10月26日、京都大学総長は霊長研の解体を公表し、実験系分野を「人類行動進化研究センター」として残し、野外系4分野をそれぞれ別部局に分散させる改組案を示した。私たちは解体を止めるべく署名活動を行い、多くの人たちの賛同を得て新聞等を通じて社会の関心を呼ぶとともに、京大執行部と面会して私たちの主張を述べ、改組を思いとどまるよう要請した。しかし改組は大学側の予定通り実行された。これまで収集した資料を基に今回の問題の経緯を総括し、私たちのとった行動と大学側の対応を報告する。その上で問題点を整理し、今、またこれから霊長類研究者と霊長類学愛好者の集まりである霊長類学会としてとれる私たちの処し方を考えたい。なお本集会は会場での対面集会のみとします。

発表内容: 不祥事の概要(調査結果)
湯本 貴和、相見 満
2021年10月以降の経過(署名活動、記者会見、大学執行部との会見)
黒田 末寿
総長発言と改組構想の問題点
佐倉 統、杉山 幸丸
私たちにできること、霊長類学会にして欲しいこと
辻 大和、石塚 真太郎、竹ノ下 祐二

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