脳を知る・創る・守る3

脳を知る・創る・守る3
「脳の世紀」推進会議編  代 表 伊藤 正男
ISBN-4-906347-81-9/B6版/本体価格1,800円
平成11年5月31日 第1版発行



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*もくじ*
はじめに
Ⅰ章 特別講演
  二一世紀の脳科学に期待する    村上陽一郎
古代ギリシア・ローマにおける脳・神経系の概念/漢方にみる脳神経系の概念/デカルトにみる脳・神経系/松果腺仮説の奇妙さ/行動主義的人間理解/ローレンツの動物行動学とバーネットの動物行動学/AIの分裂/総合的科学としての脳科学への期待/新しいルネサンスが求められている
Ⅱ章 脳を知る
 

1 神経回路形成とカドヘリン    竹市 雅俊
カドヘリンの構造と役割/カドヘリンの種類と細胞間相互作用/神経発生とカドヘリン/神経束形成におけるカドヘリンの役割/シナプスにおけるカドヘリン・カテニン接着装置/カドヘリンの種類による分布/カドヘリンの発現パターンと神経回路網/神経回路網の形成に関するモデル

2 運動制御と学習   彦坂 興秀
宣言的記憶と手続き的記憶/2×5課題の概要/手続き的記憶の特徴/記憶のメカニズムと学習のメカニズム/ヒト脳での学習のメカニズム/学習に関連する脳領域/前補足運動野の破壊効果/記憶のメカニズムと小脳/行動手続き的な学習と記憶のメカニズム

3 ニューロン信号の伝達とGタンパク質共役型受容体    清水 孝雄
信号伝達と受容体/細胞膜受容体の種類と構造/Gタンパク質による情報伝達の仕組み /Gタンパク質共役型受容体と嗅覚/Gタンパク質共役型受容体と感覚器/匂い分子の信号伝達の解析/匂い受容体の単離/Gタンパク質共役型受容体の輸送分子/嗅神経細胞の軸索投射は受容体が決定する/おわりに

4 形状視のメカニズム    田中 啓治
脳における視覚情報の流れと認識細胞仮説/神経細胞の活動と図形特徴/図形特徴に対する反応の選択性/図形特徴の抽出とコラム構造/光計測とは/光計測による神経細胞の活動領域/複数領域による視覚情報処理/顔の認識と活動領域/コラム構造の分布と情報表現

Ⅲ 脳を創る
 

1 聴覚の情報分析と計算論    河原 英紀
聴覚の情景分析とは/聴覚による情景分析の意味/耳が音をだす、目が音を聞く/聴覚の情報表現を問い直す/STRAIGHTの構成/時間領域操作による音質制御/聴覚の計算論へ

2 シリコンチップに脳機能を蓄積する
   四端子デバイスが切り拓く連想知能エレクトロニクスの世界   大見 忠弘
はじめに/二一世紀に要求される技術/生体の応答とコンピュータの応答/求められるコンピュータの性能/求められる基本技術/四端子デバイスとは/四端子デバイスの応用例/四端子デバイスが切り拓く連想知能エレクトロニクスの世界

3 人工知能はどこまで脳に迫れるか    中島 秀之
人工知能とは/知能とは/複雑系としての知能/人工知能からみた複雑系の定義/服属アーキテクチャ/人工知能における時間表現/新たな人工知能/おわりに

4 試行錯誤から学ぶロボットと脳   銅谷 賢治
ロボットと強化学習/報酬は遅れてやってくる/状態の「評価関数」とその時間差分による学習/ランダム動作による行動学習/状態の予測と評価による行動選択/強化学習の応用例/強化学習と脳/ドーパミン細胞の報酬予測応答/大脳基底核の強化学習モデル/小脳外側部の状態予測による行動計画/ドーパミン細胞と動作選択/学習のパラメータ制御と神経修飾物質

Ⅳ 脳を守る
  1 うつ病の臨床と病態    樋口 輝彦
うつ病の臨床/躁うつ病の治療法と問題点/躁うつ病のセロトニン受容体過感受性仮説/副腎皮質ホルモンとうつ病/セロトニンとHPA系の関係/今後の展望

2 発達障害児のキュアとケア    竹下 研三
周産期医療の進歩と脳性麻痺の減少/先天性脳障害への挑戦/(1)新生児マス・スクリーニングの成功/(2)先天異常への挑戦と矛盾/発達障害療育思想の変遷

3 治る神経疾患・多発神経炎(ニューロパチー)を中心に    祖父江 元
ニューロパチーの発生頻度/糖尿病性ニューロパチー/糖尿病性ニューロパチーの発症機序/糖尿病性ニューロパチーの治療/家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)/慢性炎症性脱髄性ニューロパチー(CIDP)/治療の問題点と今後

4 摂食障害・病態と治療    久保木富房
摂食障害の割合/森林から平原へ/食欲のメカニズム/摂食障害とその診断基準/神経性大食症の診断基準/神経性食欲不振症と神経性過食症の比較/摂食障害の治療/ATスプリット方式と自己統制法/治療効果の判定/行動療法と認知行動療法